私の持っている破戒には書き込みが色々あって、それらの書き込み一つ一つに他人の日記を盜み見るようなおもしろさがあるのでここにまとめておく。
昭和廿二年十一月二十五日。
吉祥寺駅前文祥堂にて求め
漱石の「三四郎」「心」などを読み終え
又「硫黄島」(菊池至)などの後読
注*破戒(別名、身を起こすまで)と真中にある頁の右側に何かペンのようなもので書いてあった。ちなみに硫黄島は昭和37(1957)年上期にあたる第37回芥川賞受賞作。
四十三年九
注*14頁右上に鉛筆で書いてあった、筆跡からなんとなく学生が書いたような気がする。43とは昭和43(1968)年のことだろうか。ちなみに次頁との間に荒木勇と判子が押してある
なにか一文字鉛筆で書いて上から鉛筆で塗りつぶされた後がある
注*22頁下に書いてあった、草冠の漢字を書こうとしたことがかすかに読める、筆跡からしてその2を書いた人と同じ人が書いたものだろう。
114頁と115頁の間に荒木勇と判子が押してある
注*その2と同じ判子、以前のこの本の所有者の名前だろうと思われる。