海島冐險奇譚海底軍艦

はしがき

一。太平洋の波に浮べる、この船にも似たる我日本の國人は、今や徒らに、富士山の明麗なる風光にのみ恍惚たるべき時にはあらざるべし。

光譽ある桂の冠と、富と權力との優勝旗は、すでに陸を離れて、世界の海上に移されたり。

この冠を戴き、この優勝旗を握らむものは誰ぞ。

他なし、海の勇者なり。海の勇者は即ち世界の勇者たるべし。

一。天長節の佳日に際し

子爵
伊藤海軍大将
肝付海軍少将
伯爵
吉井海軍少佐
子爵
小笠原海軍少佐
上村海軍少佐

各位の清b賀志、つたなき本書のために、題辭及び序文を賜はりし高意にむかつて、誠實なる感謝の意を表す。

一。上村海軍少佐の懇切なる教示と、嚴密なる校閲とを受けたるは、啻に著者の幸bフみにはあらず、讀者諸君若し此書によりて、幾分にても、海上の智識を得らるゝあらば、そは全く少佐の賜なり。

一。遥かに、獨京伯林なる、巌谷小波先生の健勝を祈る。

著者志るす

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